コラム「言葉の時流を読み間違えない」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【4】

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コラム「言葉の時流を読み間違えない」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【4】

冗談ではすまされない

 今、このようなことを公の場で言ったら大変なことになります。子供のあるなしは、それぞれに理由があること。会社でも、部下に聞かれたらセクハラ、パワハラと言われてもしかたありません。

 もちろん、この表現があったからといって落語の価値が下がるわけではありません。落語のCD・DVDには「現代においては一部好ましくない表現も含まれていますが、古典落語が成立した当時の時代背景や芸術性を考慮してそのまま収録しています。ご了承ください」などと注意書きがあります。

 時代によって許容される表現の違いで作品の価値や良さが損なわれることがないよう、そして表現が元で誤解や差別が生じないよう配慮しているわけです。

 昔は良かったけれども今は許されないということは、まだまだたくさんあります。部下のプライベートに深く踏み込むような発言から、「外人」や「かわいこちゃん」のような言葉まで、「俺の若いときはOKだった」などという言い訳は通じませんし、自分はちょっとした冗談のつもりだったと思っていても、もはや取り返しのつかない事態になりかねません。

 ビジネスパーソンたるもの、経済のみならず、言葉の時流も読み間違えないようにしたいものです。

☆山田敏弘さんのプロフィール

やまだ・としひろ 岐阜大学教育学部シニア教授(専門:日本語学・方言学)
1965年岐阜県生まれ。名古屋大学卒。名古屋大学大学院博士課程前期課程修了。大阪大学大学院博士課程前期課程を経て博士取得(文学)。国際交流基金派遣日本語教育専門家としてローマ日本文化会館で勤務経験を持つ。著書は「国語を教える文法の底力」「国語教師が知っておきたい日本語文法」「日本語文法練習帳」(くろしお出版)、「日本語のしくみ」(白水社)、「日本語のベネファクティブ」(明治書院)、「その一言が余計です。」(ちくま新書)、「あの歌詞は、なぜ心に残るのか」(祥伝社新書)など。2016年4月から17年3月まで、ラジオ深夜便(NHKラジオ第一放送、毎月第3木曜深夜)のコーナー「暮らしの中のことば」に出演した。

※転職情報サイト「日経キャリアNET」で連載中の山田教授のコラム「異文化?いい文化!」も人気です!
こちら→ https://career.nikkei.co.jp/contents/different-culture/

【バックナンバー】

【1】コラム「ここらで3分、会話がこわい?」
【2】コラム「生敬語のススメ~敬語は気持ち~」
【3】コラム「聞かせるには、まず尋ねること」

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