就活に詳しいアナリストが伝授 企業研究に役立つIR情報【3】自己資本比率

Data

就活に詳しいアナリストが伝授 企業研究に役立つIR情報【3】自己資本比率

20年以上にわたり証券アナリストとして活躍。大学で就活支援も行う、企業と就活の専門家が、「IR情報」を活用した企業研究のやり方を分かりやすく解説します。
(文/日本経済大学経営学部教授 兼 キャリアサポートセンター長、証券アナリスト  西村尚純)

自己資本比率は企業の安全性を見る指標

 今回はIR情報を使って企業の安全性を調べてみましょう。企業の安全性は、「自己資本比率」でチェックします。「自己資本比率」は、決算短信最初のサマリーページの「(2)連結財政状態」のところに出ています。

 具体例として、みなさんが乳製品やお菓子でよく知っている明治ホールディングスの自己資本比率を見てみましょう。同社ウェブサイトのIR・投資家情報(→IRライブラリ→決算短信)から2015年3月期(2014年度・平成27年3月期)の決算短信を取り出してください。それを見ると、明治ホールディングスの2015年3月期の自己資本比率は42.2%だったことがわかります。この数値がいいのか、悪いのか、まずは自己資本比率の意味から説明したいと思います。

 企業にとって最大のリスクは何かと言えば、それは存続できなくなること、すなわち倒産ですよね。倒産は企業が銀行などから借りたお金(負債=他人資本)を返済期日までに返すことができなくなったことによって発生します。

 ただ、企業が持っているお金は、借りたお金だけではなく、自ら調達してきた、返済する必要のないお金もあります。これを自己資本といいます。
(自己資本は株主資本と言うこともあります。自己資本と株主資本は厳密にいえば会社法の区分による違いはありますが、ほぼイコールなので同義語と考えて構いません)

 そして、他人資本と自己資本の合計が資産となります。

 ということは、資産に占める自己資本の割合が多ければ多いほど(=他人資本の割合が少なければ少ないほど)倒産の可能性が少ない安全な会社ということになりますよね。この「自己資本÷資産(=自己資本+他人資本)×100」 で計算したものが自己資本比率です。繰り返しになりますが、自己資本比率が大きければ大きいほど負債の資産に対する割合が低いので、銀行借入れに依存しない安定した経営を行っているといえるのです。

賃借対照表(バランスシート)とは?

 というわけですが、みなさん「賃借対照表(バランスシート)」というものをご存じでしょうか。企業の決算書の一つです。ページ上部に示した画像が、そのイメージです。

 これまで述べてきたことを、賃借対照表と絡めて説明します。貸借対照表は決算期末のような一定時点において企業が持っている財産(=表の左側部分で資産といいます)とその源泉(=資産を購入する資金をどのように調達したのかを示すもので負債と資本に分けられます)。そして左側の資産と右側の負債+資本は必ず一致(バランス)するので貸借対照表のことをバランスシートとも言います。

 どうでしょう。少しピンとこなかったみなさんもこれでスッキリしましたか? 簡単に言えば、自己資本比率は貸借対照表の右側、つまり資金の調達部分に焦点を当てた指標であり、返済する必要のない自己資本でどれだけ資産を購入したのかを表す指標と言い換えることができるのです。

あわせて読みたい