就活に詳しいアナリストが伝授 企業研究に役立つIR情報【6】 中期経営計画

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就活に詳しいアナリストが伝授 企業研究に役立つIR情報【6】 中期経営計画

 20年以上にわたり証券アナリストとして活躍。大学で就活支援も行う、企業と就活の専門家が、「IR情報」を活用した企業研究のやり方を分かりやすく解説します。
(文/日本経済大学経営学部教授 兼 キャリアサポートセンター長、証券アナリスト  西村尚純 ※プロフィルは3ページ目)

中期経営計画をチェックする意味は?

 今回は企業の「中期経営計画」(以下、中計)について解説します。筆者は学生の皆さんが企業研究を行う際に、中計にぜひとも注目してほしいと考えています。中計は通期決算と同時に公表されるのが普通で、3年間もしくは5年間の計画が大半を占めます。中計が公表された場合は会社のIR情報ページに掲載されるとともに、決算説明会資料などにも掲載されます。最近は決算説明会の録画を公開している会社も多いので、そのなかで経営者の中計の説明に直接触れることも可能です。

 また中計の進行中に通期決算を迎えた場合、必ず決算説明会資料に「中計進捗状況」が掲載され、経営者から途中経過と見通しについての説明が行われます。

 中計をチェックすることがなぜ重要なのでしょうか? それは会社の今後の成長戦略や経営目標を深く知ることができるからです。例えば、小売業界の会社であれば、出退店戦略、店舗戦略、マーケティング戦略、商品戦略、海外戦略、人事採用戦略、財務戦略などが説明され、最後に経営目標として中計最終年度の目標売上高、営業利益、自己資本利益率(ROE)などが示されます。

 中計で会社の経営方針を知っておくことは、筆者は企業研究においてとても重要なことと考えています。なぜなら、その会社に入社した場合、皆さんもその戦略のなかに組み込まれるからです。

面接では中期経営計画に沿った回答をすればOK

 企業の採用面接では中計を十分勉強した上で臨むことが必要です。『面接の質問「でた順」50 2017年度版』(渡辺茂晃著・日経HR刊)によれば、面接では、「志望動機・志望理由」が出た順の1位、「入社後にやりたい仕事」が6位、「海外勤務」が24位、「10年後どうなっている?」が42位となっています。

 これらの質問には中計を踏まえた回答をするのがベターで、面接担当者の好印象を得られると思います。例えば、食品業界の会社が中計で「アジア各国での展開に力を入れます」とあった場合、「入社後にやりたい仕事」という質問が出たらどのように回答しますか?

 筆者であれば、「はい。私はアジアで御社商品の販売の仕事に就きたいと強く希望しています。アジアの国々は今後中間層が一段と拡大し、消費力も増加が見込まれます。御社の中計にもアジアでの拡販に注力すると書かれていました。御社の商品はアジア各国でも伸びる余地が大きいと思います。私はぜひアジアの国々での営業の最前線でがんばりたいと思います」と答えます。

 このような回答であれば、面接担当者から好印象を持たれることに疑う余地はありません。なぜなら、面接担当者自身、会社の経営者あるいは人事部長から「中計に沿った人材を採用するように」といった指示が出ているはずだからです。

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