「怒り」のコントロールでキャリアアップ!【5】怒りをうまく伝えるには~効果的な叱り方

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「怒り」のコントロールでキャリアアップ!【5】怒りをうまく伝えるには~効果的な叱り方
戸田久実さん(一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 理事)

 ちょっとしたことで一喜一憂しがちな日常生活。自らの怒り、イライラに対処する術「アンガーマネジメント」の基本を学べば、後悔しない日々を過ごせるはずです。また、仕事でイライラしたことが起こってもうまく対処できれば、スムーズに進めることができ、キャリアアップにもつながるでしょう。
 この分野の専門家である戸田久実さん(一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 理事)にアンガーマネジメントのイロハについて、分かりやすく解説していただきます。
 第5回はどのような叱り方をしたらいいのかについてです。
(文/戸田 久実 ※プロフィールは文末)

叱ることは悪いこと? 苦手意識をもつ人が多い

 アンガーマネジメントは「怒ってはいけない、ということではなく、怒る必要のないときには怒らずに済むように、怒る必要のあるときには適切な怒り方ができ、怒りで後悔しないこと」を目指します。そのため、「怒りを適切に表現するにはどうしたらいいか」、特に「どのように叱ったらいいのか」という質問や相談をよく受けます。

 「叱ってパワハラと言われたり、嫌われたり、反発されたくない」「どう叱っていいのかがわからない」と、叱ることに苦手意識をもつ方が多いようです。

 そのような相談を受けたときにお伝えするのが、「叱ることは悪くない」ということです。なぜなら、叱ることの目的は相手の成長を願い、意識と行動を改善してもらうことだからです。相手を叩きのめし、再起不能にすることでも、自分のストレス発散でもありません。

どのような叱り方をしたらいいのか

 怒りは自分の思い通りにならないときに抱く感情だと前々回(第3回)に紹介しました。

 その自分の思い、願望、理想を象徴する言葉が「べき」。叱るときは、まさに自分や組織、チームの「~あるべき」「~するべき」を守ってもらえなかったときではないでしょうか。

 そのため、つい「なぜ○○しないの!」「ふつう△△するよね?!」「これって人として当たり前だよね!」と感情的に言ってしまう人がいます。「なぜ?」と相手を責めたり、「ふつうは□□あるべきだ」と自分の「べき」の正しさを主張するばかりでは、相手に「次からこうすればいい」と理解してもらい、のぞましい行動をしてもらえないでしょう。

そこで、叱り方のポイントをお伝えしましょう。

(1)「何について叱っているのか」論点がぶれないようにする
 叱り始めると、論点がぶれる人がいます。

 「○さん、この報告書の数字が間違ってるよ!大体○さんは、数字だけじゃなくてメールにも誤字があるし。全てのことに不注意なんだよね。しかも机の上も整理整頓していないから仕事の段取りが悪いのではないのか。それに……」

 あれこれと言い過ぎて、何について言っているのか相手は理解できない。しかも、「できていない事ばかり!」と言われているように思われます。一時に一事を心がけましょう。

(2)「どのようにすればいいのか」具体的な表現で伝える
 抽象的な表現で叱る人がいます。たとえば「挨拶はちゃんとして」「報告は早めにしてね」「相手の立場にたった行動をして」というような表現をしていないでしょうか。

 今後、「どのようにすればいいのか」を理解できないと、望む行動は期待できないでしょう。価値観が多様化している昨今,自分の当たり前と相手の当たり前が異なることがあります。「ここまで言わなくてもわかるだろう」という思いから、具体的に伝えていない、という方が多くいます。

 「挨拶をされたら、作業の手をとめ、相手の目を見て、聞こえるような声で挨拶を返してね」
 「出張の報告は、翌日出社したら朝一番にしてほしい」

というように、相手と共通認識になるように伝えてみませんか。

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