「業界」時事最新トピックス(生命保険業界)

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「業界」時事最新トピックス(生命保険業界)

 どの業界を志望するにしても押さえておきたいのは業界の「時事問題」です。背景にある社会情勢や、そのトピックスがもたらす業界や顧客など関係者への影響なども押さえておく必要があります。そして、ここが何より大切なことですが、そのトピックスについて自分なりの意見や将来の見通しについての考えを持つこと、これが就活ではとても重要なポイントです。生命保険業界では銀行業界以上に「マイナス金利」が大きな意味を持っています。なぜだか分かりますか? 今回はこのテーマを解説します。(文/武蔵野音楽大学就職課主任 兼 会計学講師 大内孝夫 ※プロフィルは2ページ目)

マイナス金利政策が生保の資金調達・運用に与える影響

 みなさんは、「マイナス金利」についてはニュースなどで耳にしたことがあるのでないでしょうか。このマイナス金利が銀行に与える影響はよく耳にしますが、生命保険会社への影響はあまり報道されません。しかし、実は大変大きな影響があり、現実に昨今の生命保険会社の資金運用や調達行動に大きな変化が起きています。その根底を探るために、まずは生命保険会社の収益構造について見てみましょう。

 生命保険会社の利益は「基礎利益」として公表されています。基礎利益は3利源(①死差益、②利差益、③費差益)の合計からなります(上記図表参照)。

 一般に、生保の契約期間は20年以上など長期間にわたります。その間に予想される死亡率より実際の死亡率が低ければ生命保険会社から顧客(契約者)への支払い額は少なくて済み、利益(①死差益)になります。また、予定された経費を切り詰めることができればこれも利益(③費差益)になります。この①死差益と③費差益については、生命保険会社間で大きな差は生じにくいものです。

 ②利差益は、保険契約者にあらかじめ約束した運用利回り(予定利率)を上回った場合に生じる差益のことをいいます。生命保険会社は、保険契約者から預かった保険料を公社債や株式などに投資して運用しています。生命保険会社は運用で得られる利益から契約者に支払う金額を差し引き、その差を会社のもうけ(利ざや)としています。運用は保険契約後の金利変動に左右されるため、各社の運用の巧拙によって大きく差が生まれます。

運用が命綱の生保にとって「マイナス金利」は大逆風

 さて、ここで注意してほしい点があります。銀行はマイナス金利により資金運用の利回りが低下しても、調達金利(お金を調達するときの金利。ここでは銀行が日本銀行や他銀行などから借りるときの金利)も同時に下がるので、マイナス金利の影響を減じることができます。
 
 しかし、生命保険会社のお金の調達先は保険契約者です。調達金利が予定利率で「固定」されているため、マイナス金利による運用利回りの低下はより深刻です。前に、生命保険会社にとってマイナス金利は「大変大きな影響がある」と述べたのはこのことです。そのため、昨今、生保各社は米ドルなど相対的に利回りの高い(その分、リスクも高くなるのですが)資産購入の姿勢を強めています。

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