「業界」時事最新トピックス(米トランプ政策と日本企業への影響)

HowTo

「業界」時事最新トピックス(米トランプ政策と日本企業への影響)
ジェトロ「地域別貿易概況(2015年確定値)」

 どの業界を志望するにしても押さえておきたいのは業界の「時事問題」です。背景にある社会情勢や、そのトピックスがもたらす業界や顧客など関係者への影響なども押さえておく必要があります。そして、ここが何より大切なことですが、そのトピックスについて自分なりの意見や将来の見通しについての考えを持つこと、これが就活ではとても重要なポイントです。最終回のテーマは、「米トランプ政策と日本企業への影響」です。アメリカの経済政策によって米国市場が変化すると、日本の産業界にも利益・不利益が生じるでしょう。今後押さえておくべきトピックスを解説します。(文/武蔵野音楽大学就職課主任 兼 会計学講師 大内孝夫 ※プロフィルは2ページ目)

アメリカは日本の経済面の重要なパートナー

 お伝えしてきた「業界」時事トピックス、今回が最終回です。最後のテーマは「トランプ政権の政策がもたらす日本企業への影響」。テレビや新聞でアメリカのトランプ政権について連日大々的に報道されていますが、「日本にとってアメリカってそこまで重要なの?」と思う方もいるかもしれませんね。しかし、よく報道される安全保障関係だけではなく、日本の輸出相手国としてナンバー1、輸入相手国として中国に次ぐナンバー2の位置にあり、アメリカは経済面でも欠くことのできない、重要なパートナーなのです。

 しかも、米ドルは国際通貨市場の基軸通貨(キーカレンシー)。輸出入の貿易決済でも中心的役割を担っていますので、米国内の情勢変化は為替レートの変動を通じてさまざまな分野に影響を及ぼします。その動向から目が離せません。

トランプ政権の「アメリカ第一主義」が生まれた背景

 さて、そのトランプ政権も発足して2カ月が経ち、まだ先が見通せないながらも、方針や考え方は次第に明らかになってきた感じがします。
 
 何といっても印象強いのは「アメリカ第一主義」です。これに異論をはさむ余地はほとんどないと思います。これまで多くの人が「世界のアメリカ」だと思っていただけに、その衝撃や失望感は大きく、非難の声が巻き起こっています。しかし、冷静に考えれば自国の利益を最優先するのは当たり前で、日本の安倍首相も「国益優先」はよく口にする言葉です。これまでのアメリカもボランティア精神で「世界のアメリカ」を演じていたわけではなく、それがアメリカの「国益」だったからです。

 最大のライバル・ソ連が1991年に崩壊し、唯一の超大国として世界をリードする、その中で平和の配当を享受する――それがアメリカの世界戦略でした。しかし、中国の台頭や中東情勢の不安定化などから、それが限界に達し、「アメリカのためのアメリカ」が新たな「国益」にとって代わったと筆者は考えています。ですから、私たちアメリカの外部の人間には、アメリカは自分勝手だ、とか急に冷たくなった、と感じるかもしれませんが、アメリカの側からすれば合理性の高い判断ではないかと思われます。

 この「世界のアメリカ」が限界に達した最大の経済的要因は、「双子の赤字」(※1)だと考えられます。特に国防費の増大は財政の大きな負担となっており、このまま赤字が続けば米国債の破綻すら現実味を帯びかねませんし、貿易赤字は年7343億ドル(約82兆円)に達しています。USTR(米国通商代表部)が、「現在の世界貿易制度は中国に有利に働いている」と名指しで批判するほどのストレスとなっているようです。トランプ氏が大統領にならなくても、直面せざるを得ない問題であったということができそうです。

(※1)アメリカの「双子の赤字」・・・財政収支と貿易収支(経常収支)が共に赤字になっている状態を指す。財政赤字の主な原因は国防費の増加、貿易赤字の原因は米国の貯蓄性向が低く、国全体として消費体質にある点を指摘されることが多い。財政にせよ貿易にせよ、大幅な赤字拡大は国家の信認を損ね、ドル急落を招く要因となりかねず、今後の推移に注目が集まっている。

あわせて読みたい