コラム「言葉の時流を読み間違えない」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【4】

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コラム「言葉の時流を読み間違えない」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【4】

 近年、落語の人気が急上昇。この落語ブームにあやかって、落語に見るコミュニケーション術を、本コラムではお話ししていきます。
(文/山田敏弘〔岐阜大学教育学部シニア教授、専門:日本語学・方言学〕)

時代が変われば言葉も変わる

 五代目古今亭志ん生(1890-1973年)と言えば、破天荒な逸話も事欠かない一方、天衣無縫な語り口で聴衆を湧かせ、没後も語り継がれる名落語家です。しかし、時代が変われば言葉も変わるもの。現代では日常会話で使うと困ったことになる表現も、志ん生落語では多く使われていました。

 「小言幸兵衛(こごとこうべえ)」と言えば、空き家を借りたいと言ってくる人に、大家が何かと難癖をつけて貸さないという話です。志ん生さんは、これを「搗屋幸兵衛(つきやこうべい)」という名で演じ(『五代目古今亭志ん生名演大全集』)、サゲ(落ち)に搗米屋(つきごめや)を持ってくるのですが、その前に部屋を借りに来て断られる豆腐屋のくだりには、次のような会話があります。

家主「子供はあんの?」
豆腐屋「子供はぁねぇんです、えぇ。食いもの商売に餓鬼があるとしょうがねぇからね、いい塩梅に一匹もねぇやぁ」
家主「貸せないよ、その一言で貸せない。なんでぃ一匹もねぇたぁ。(略)いっしょになってどのくらいになる?」
豆腐屋「八年になります。」
家主「ばかやろう。(略)そんなかかあ、よしちゃえ。おれがもっといいのを世話してやるから」

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