コラム「臨機応変な対応は鍛錬あればこそ」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【5】

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コラム「臨機応変な対応は鍛錬あればこそ」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【5】

 近年、落語の人気が急上昇。この落語ブームにあやかって、落語に見るコミュニケーション術を、本コラムではお話ししていきます。
(文/山田敏弘〔岐阜大学教育学部シニア教授、専門:日本語学・方言学〕)

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 夏になると、あちらこちらで「納涼」と銘打った落語会が開かれます。どんな話が聴けるのでしょうか。

 落語会では「本日はこの演目です」と、前もって上演内容を知らせることはあまりしません。歌手のコンサートならば、おおよそ新譜を織り交ぜてセットリストを構成しますし、役者の名前だけがわかって演目がわからないような舞台はないでしょう。帰り際に「本日の演目」が貼り出される落語は、一人で演じればこその特異な芸です。

 それもそのはず、落語ではマクラを話しながら落語家が舞台から客を観察し、どんな話がウケるかを探り、その場で演目を決めている(ことが多い)からです。前もって決まっていないからこそ、観客は最適な演目が聴けるというわけです。

 困ったこともあります。何人かの落語家が入れ替わって舞台に立つ落語会では、上演しようと思っていた演目を出番が先の人に演じられてしまったということもあるようで、急遽、演目を変更することもあります。こんなときに立ち往生しては困ります。

 ビジネスパーソンも同じことです。会議では自分が言おうと思った意見が、先に他の人に言われてしまうこともあります。企画のコンペでは、類似したアイデアが先に出されても、それを上回るアイデアを出していかなければなりません。臨機応変に危機に対応する力も、重要なビジネススキルです。

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