コラム「フェース・トゥ・フェースが大切」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【8】

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コラム「フェース・トゥ・フェースが大切」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【8】

 近年、落語の人気が急上昇。この落語ブームにあやかって、落語に見るコミュニケーション術を、本コラムではお話ししていきます。
(文/山田敏弘〔岐阜大学教育学部シニア教授、専門:日本語学・方言学〕)

意思疎通は相手の表情を見ながら話してこそ

 立川談志さんほど、落語界で異彩を放った落語家はいません。好き嫌いもはっきり分かれ、今でもネット動画解説では賛否両論が、うずまいています。

 そんな談志さんの数ある名演に「黄金餅(こがねもち)」があります。説明する文字だけ見ると物騒な話になることを事前にお断りして、内容は欲深い僧侶が死ぬ前に餅の中に金を入れて飲んでしまい、それを見ていた男が亡骸(なきがら)を焼いて取り出そうと奔走する話ですが、話に伴う仕草に名人芸が垣間見られます。

 僧侶が餅を食う場面では、暗い部屋の中をのぞき込む様子を、目の細め方で細かく表現していますし、大風で倒れた山門の代わりの穴を通る際の小競り合いの様子などは、顔だけでなく全身を使って大げさなほどに表現しています。

 落語はCDで聴くことも多いと思いますが、やはり仕草があってこその落語です。昨今の高座は人気歌手のコンサートよろしく、大きなホールで仕立てられることもありますが、表情が見えるほどの距離でないと、おもしろみは十分に伝わってきません。仮に落語家が7大ドームツアーなどを組んだとしても、オーロラビジョンでは笑えませんね。

 これはビジネスでも同じこと。フェース・トゥ・フェースが大切です。メールだけで済ませている人は、十分な意思疎通ができているか心配です。ぜひ、折に触れて電話で肉声を聞き、さらに実際に会って表情を見ながら話をしてみませんか。きっと、よりよいビジネス関係につながります。

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