コラム「間がないと間抜けな話になりかねない」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【9】

HowTo

コラム「間がないと間抜けな話になりかねない」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【9】

 近年、落語の人気が急上昇。この落語ブームにあやかって、落語に見るコミュニケーション術を、本コラムではお話ししていきます。
(文/山田敏弘〔岐阜大学教育学部シニア教授、専門:日本語学・方言学〕)

相手の関心を引きたいときこそ間が大事

 落語の上手(じょうず)、下手(へた)は、間の取り方だと感じることが、よくあります。寄席では絶妙な無音空間が笑いを誘うことがあり、さまざまな落語家が当意即妙を競っています。

 今では落語家というより、名司会者として名を馳せる笑福亭鶴瓶さん。私も中学生の頃から、鶴瓶さんが出演していた東海地方のローカル深夜番組にはまり込みました。

 落語家の名前を持っているのだから、当然、落語も面白いに違いないとCDを探してみても、見当たりません。人気がありすぎて、高座も高倍率で地方ではチケット入手も困難。まさに幻の落語家です。

 ユーチューブで公開されている落語を見つけたので、聞いてみました。本人も公言しているように、笑いをガマンできない、いわゆる大阪弁の「ゲラ」という性格ですので、まったくの無音というのは、そう多くありません。

 たいていは、あの鶴瓶さん独特の笑い声が、間を埋めていきます。そんななかで、ここぞという個所では、あえて黙って「次に面白いことを言うぞ」と言わんばかりに、期待を盛り上げます。そして、ふいに黙った瞬間、客席はどかーんと爆笑。間の取り方が絶妙なのです。

 ビジネスでも同じこと。相手にしっかり聞かせたい、ここぞという局面で直前に間を置くと、相手の関心はこちらに向きます。その瞬間にこそ、伝えたいことが効果的に伝わります。

あわせて読みたい