コラム「個人が背負う前提を伝える難しさ」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【10】

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コラム「個人が背負う前提を伝える難しさ」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【10】

 近年、落語の人気が急上昇。この落語ブームにあやかって、落語に見るコミュニケーション術を、本コラムではお話ししていきます。
(文/山田敏弘〔岐阜大学教育学部シニア教授、専門:日本語学・方言学〕)

口べたでも気持ちがよりよく伝わる

 英語が共通語という会社が増えてきました。世界の多数の人々とのコミュニケーションには、英語がもっとも役立つ言語であることは間違いありません。落語の世界でも、故桂枝雀さんや桂文枝さんなど、多くの落語家がアメリカやヨーロッパで英語の落語を披露し、世界中に落語ファンを増やしてきました。

 英語だけではありません。先日、私の住む町で、フランス人落語家による落語会が開かれると聞き、さっそく行ってみました。お一方は、南仏生まれの尻流複写二(シリル・コピーニ)さん。パリの発音の癖を、流ちょうな大阪弁で揶揄(やゆ)して笑いをとり、長い名前で苦労する「寿限無」でも大爆笑をさらっていました。

 話としては単純な「寿限無」を、ヨーロッパ人(南仏人)ならではのアクションたっぷりに演じているところが、多少の大阪弁のぎこちなさがあっても伝わった理由でしょう。もともと多くの民族が入り乱れるヨーロッパでは、言語が違っても通じるジェスチャーは不可欠。ジェスチャーは、多文化共生社会で、円滑なコミュニケーションをとる秘訣でもあります。まさにヨーロッパ人落語家の面目躍如といったところでした。

 込み入った話をするビジネスにおいても、身振り手振りは有効です。ジェスチャーを交えて大げさに伝えるようにすると、多少口べたでも気持ちがよりよく伝わります。

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