コラム「強みになりえる出身地の方言を活用」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【13】

HowTo

コラム「強みになりえる出身地の方言を活用」―落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ―【13】

 近年、落語の人気が急上昇。この落語ブームにあやかって、落語に見るコミュニケーション術を、本コラムではお話ししていきます。
(文/山田敏弘〔岐阜大学教育学部教授、専門:日本語学・方言学〕)

面白さのこだわりに、決してぬかりなく

 落語では、よく地方出身者の象徴として方言が用いられます。上方落語でも、奉公人のあかぬけなさを、上方以外の方言で表すことがあります。

 もちろん、その方言を使う地方の出身者としては面白くない。ばかにするなと怒り出す人がいないかと、心配する人もいるかもしれません。

 そこは落語のこと、ぬかりはありません。面白い話をするのに、実際の誰かをばかにすることほど愚かしいことはありません。実際には、どこの方言とわからない言葉を使うのです。

 例えば、上方落語の「仔猫」。故二代目桂枝雀さんが得意としたこの話で、主人公の田舎娘「おなべ」は、返事の「はい」を「はえ」、自分のことを「わし」と、枝雀節ともいえる独自のイントネーションで話します。関西へ奉公に出る地域の、どこの特徴ともいえない方言です。かつて津軽出身の歌手、吉幾三さんが「俺ら東京さ行ぐだ」と、架空の方言で歌ったのと同じ構図です。誰もおとしめていません。

 21世紀になり、「なまり」がかっこいいという受けとめられ方もされるようになりましたが、いまだに方言に対しコンプレックスをもつ人もいます。東京など大都市出身を気取っても、地方出身者に対しての態度には本性が現れます。地方出身者を下に見るような受け取られ方をするようでは、ビジネスもうまくいきません。

あわせて読みたい