「残業=悪」と考える前に、私たちが知っておきたいこと・考えたいこと

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「残業=悪」と考える前に、私たちが知っておきたいこと・考えたいこと

 昨年末、大手広告代理店の電通が労働基準法違反容疑で書類送検された事件は、誰もが他人事とは思えない、働き方に対する心のざわめきを持ったと思います。
 働くことを中心とした人生を自分でデザインしていく時代が到来していますが、私たちは高度経済成長期の美徳とされてきた「残業」という考え方と、どう付き合っていったらよいのか。まずは働く上での最低基準の取り決めとなっている労働基準法をおさらいした上で、これからの働き方を考えます。
(キャリアコンサルタント・小倉 環)

法律で残業はどうなっているのか? 実は知らない人が意外に多い

 電通の法令を遵守しない長時間労働とパワハラが横行していた職場環境は糾弾をされて当然ですが、私はこの事件を契機に社会が二者択一で「残業=悪」の風潮が加速していることも気になります。そもそも何が「労働基準法違反」なのかご存知でしょうか?

 労働基準法では原則1日8時間、週40時間を超えた労働を禁じています。しかし、時間外労働(残業)の限度に関する基準は同法第36条の規定により、時間外労働・休日労働の協定(いわゆる「36協定」と呼ばれるもの)を労使で締結し、労働基準監督署に届け出ることを要件として、時間外労働や休日労働を認めています。

 その限度時間として1週間では15時間(変形労働時間制の場合は14時間)、1カ月で45時間(変形労働時間制では42時間)、1年で360時間(変形労働時間制では320時間)を超えてはならないと決められています。しかし、なぜその時間を超えて月に100時間や120時間といった働き方をさせる企業が出てきているのでしょうか?

 それは前述の36協定の限度時間を超えて「臨時的に」時間外を行わなければならない「特別な事情」が予想される場合に、「特別条項付き協定」を結び、届け出することで限度時間を超える残業をさせることが法律でできるようになっているからです。実はその特別条項付き協定については改正が国会で審議されていますが、現時点では上限がないため、なかには1カ月で100時間、120時間といった法外な時間で届け出をしている企業があるのです。

 しかし近年はワークライフバランスを求める社会的背景や、健康経営、時間外労働に対するコンプライアンスの意識の高まりもあって、月の限度時間の45時間、あるいは60時間程度に集中する企業が増えているのが実際です(厚生労働省平成25年度労働時間等総合実態調査より)。よって残業はしてもよいというわけではないですが、法律としては36協定を結んでいれば月45時間を超えないようにというのは最低限のルールとしてあるのです。

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