攻める中小企業 勝負の一手【4】芝園開発 ~建設業から舵を切り、駐車場・駐輪場管理ビジネスへ~

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攻める中小企業 勝負の一手【4】芝園開発 ~建設業から舵を切り、駐車場・駐輪場管理ビジネスへ~
駐輪ラック1台単位の入出庫時間や課金額の情報が「SHIP」と連動する

 国内には現在、約380万社の企業があり、このうち中小企業に分類される会社は99%以上を占めます。国内の経済基盤を支え、地域経済の活性化を担う、日本経済の「根幹」 ともいえる中小企業には、長年培った伝統を生かして年月を重ねている会社もあれば、最新のIT(情報技術)システムを導入し、独自の経営戦略を打ち出して事業展開をしている会社もあります。

 この企画では、資金や人材が限られる中でITの利活用に積極的に取り組んだ結果、一定の成果を上げ、経済産業省の「攻めのIT経営中小企業百選」に選ばれる理由となった活動事例を基に、将来を見据えてしっかりと前を向く中小企業について焦点を当てます。

 今回は駅周辺の放置自転車を解消に導き、地域社会に貢献する芝園開発(東京・足立)をクローズアップします。

※本コンテンツは転職情報サイト「日経キャリアNET」の記事を転載しました。
元の記事はこちら>> https://career.nikkei.co.jp/contents/100sen/04/

放置自転車を減らし、店舗の売り上げも伸ばす

 駅周辺の放置自転車は街の景観を損なうだけでなく、歩行者や緊急車両の通行障害、自転車盗難なども引き起こすため、街のイメージを低下させる都市問題の1つといえる。各自治体は条例を設けるなど対策を講じているが、東京都足立区で実施されている自治体・地域・民間による協働プロジェクトは、ひときわ目を引く。

 同プロジェクトは、民間の駐輪事業者が運営する綾瀬地区内の13カ所の駐輪施設の利用料金を2時間無料にして放置自転車を減らし、同時に、周辺の飲食・小売店の売り上げを伸ばすという画期的な取り組み。この2時間無料のサービスを提供する会社が、首都圏を中心に駐輪・駐車場の管理運営・業務委託を手がける芝園開発だ。

 同社の創業は1986年。当初は官公庁の仕事を中心に建設業を営んでいたが、公共事業が削減されるなど時代の波にあおられ、会社の将来に不安を感じ、収益の柱となる新規事業を早急に見つけ出す必要が生じた。そこで海老沼社長が新規事業に求めたのは「人々に感謝される仕事」だった。

社会貢献と事業貢献を両立する

 新規事業を模索する時期と同じくして、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」が改正。海老沼社長は用地の確保が難しい都内は駐車場不足が課題になり、その解消はビジネスチャンスになりえると考え、立体駐車場装置の販売代理業務を始めた。

 利用者の声に耳を傾けるうちに、時間貸駐車場が人々に感謝される仕事であることを確信。大手駐車場会社のフランチャイジーとして時間貸駐車場事業にも乗り出した。さらに、放置自転車が社会問題化していたことから、時間貸駐輪場業にもビジネスチャンスを見いだし、緻密な利用予測のデータ分析を行いながら、駐輪機メーカーと共同プロジェクトを実施。個別に鍵がかけられる機械式駐輪場機器を使った無人による時間貸駐輪場事業のビジネスモデルを構築し、駐輪場開発のパイオニアとして地歩を固めた。

 施設ごとの収支状況を瞬時に把握し、地主への借り上げ賃料の交渉や不採算施設の閉鎖など、経営判断を行う際のデータとしての利用も見込み、独自の駐車場・駐輪場管理統合システム「SHIP」を開発。会計システムや米グーグルの地図サービスとも連携させ、施設単位の収支は1円単位で分析可能にした。

 こうして同社は建設業から舵を切り、ITを活用して現在は駐車場部門、駐輪場部門、官公需部門、フィットネス部門の4つの事業を展開するまでになった。注目すべきは主力の駐輪場部門に次ぐ売り上げを占める官公需部門。独自開発の「放置自転車対策業務支援システム」を軸に、総合自転車対策業務(放置自転車対策業務)を都内で4カ所(足立区、江戸川区、墨田区)、千葉県内で1カ所(柏市)の計5カ所で受託している。

 同システムはクラウドサービスを活用し、発見された放置自転車をすべて管理でき、いつ、どこで、どのような状態で放置されていたのか、タブレット端末やバーコードが印刷された個体管理札を使って記録することができる。発注者である自治体、現場管理事務所、現場従事者、そして同社の間でリアルタイムに情報を共有するだけでなく、「見える化」することで、放置自転車の撤去業務、返還業務、公共駐輪場管理業務の3つを一体で行えるという。

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