攻める中小企業 勝負の一手【6】ダンクソフト ~自社を実例に「テレワーク」で新しい働き方を実践~

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攻める中小企業 勝負の一手【6】ダンクソフト ~自社を実例に「テレワーク」で新しい働き方を実践~

 国内には現在、約380万社の企業があり、このうち中小企業に分類される会社は99%以上を占めます。国内の経済基盤を支え、地域経済の活性化を担う、日本経済の「根幹」 ともいえる中小企業には、長年培った伝統を生かして年月を重ねている会社もあれば、最新のIT(情報技術)システムを導入し、独自の経営戦略を打ち出して事業展開をしている会社もあります。

 この企画では、資金や人材が限られる中でITの利活用に積極的に取り組んだ結果、一定の成果を上げ、経済産業省の「攻めのIT経営中小企業百選」に選ばれる理由となった活動事例を基に、将来を見据えてしっかりと前を向く中小企業について焦点を当てます。

 今回は「若者たちに働く場所をつくってあげたい」「活気ある故郷をつくる手助けをしたい」という親心が事業の根幹に息づくダンクソフト(東京・中央)をクローズアップします。

※本コンテンツは転職情報サイト「日経キャリアNET」の記事を転載しました。
元の記事はこちら>> https://career.nikkei.co.jp/contents/100sen/06/

実証実験のきっかけは東日本大震災

 東京・日本橋のオフィス街の一角。ITサービスを手がけるダンクソフトの社内には、様々な職場が映し出されたディスプレーが並ぶ。遠く離れた場所にいても、社員みんなが同じフロアで一緒に仕事をしているような空間がつくり出されている。社員それぞれの働き方を尊重し、働き方改革に関連して多くの賞を受賞している同社。その声価は東京から離れた地方都市にも広く浸透している。

 同社の創業は1983年。首都圏を中心にウェブ制作やシステム開発などを行ってきたが、優秀な人材の確保には常に頭を悩ませてきた。人材不足は会社の将来性にも関わる問題だけに、同社の星野晃一郎社長は根本的な解決を図ろうと模索し続けていた。

 その最中に起きたのが東日本大震災。震災直後から首都圏では計画停電が実施され、インフラ環境が悪化するなど、IT企業にとってはなおのこと厳しい状況が続く。同社はBCP(事業継続計画)対策の一刻も早い導入と人材不足の解消を目指し、サテライトオフィスの実証実験に着手することを決断する。

ペーパーレスから始まるICT環境

 自社をショーケースにしたサテライトオフィスの実証実験は、仕事で縁があった徳島県神山町で開始した。徳島県は地上デジタル放送移行の際に、県内全域にCATV網を整備した日本屈指の光ファイバー網を有する自治体。そのインフラを使ったインターネット網の転送速度は非常に速く、限界集落が点在する神山町の通信速度でさえ、東京都心の数倍のスピードを誇る。

 過疎化が進む徳島県では、ブロードバンドインフラの魅力を最大限に生かし、過疎集落の空き家となっている古民家や遊休施設を、首都圏のICT企業にサテライトオフィスとして活用してもらう「とくしま集落再生プロジェクト」を展開している。

 星野社長は「最高のインフラ環境の下、古民家特有の温もりや自然を身近に感じながら働く経験は、オフィスでは得られない感動や刺激を生み出し、感性までも豊かにしてくれた」と古民家が持つ魅力を語る。

 同社が実証実験を行ううえで最もこだわったのは、社員がどこにいても利用できる情報環境の整備だった。サテライトオフィスとはいえ、一緒に仕事をしているチームメートとの情報共有は必須。パソコンのセキュリティーなどのIT環境は本社と同じ水準を保たなくてはならない。

 そこで、クラウド環境をベースにした業務システムを構築し、東京の本社と各地のサテライトオフィス、在宅勤務者がパソコンのモニターで常時接続できるオンライン会議システム「Skype for Business」の導入を決めた。

 業務システムの構築作業と並行しながら、それまで紙が主体だった申請書などの社内書類もクラウド上に保存してワークフロー機能を組み込んだ結果、クライアントの要望などで紙が必要となるもの以外は、完全なペーパーレス化が可能になった。「情報共有化のためのペーパーレス化だったが、作業効率が上がっただけでなく、オフィススペースのスリム化や経費削減にもつながった」。予想以上の効果に星野社長も驚いている。

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