「日経HR Labo 就活ゼミ生」講座より【7】 留学生のための「業界・企業研究」(2)

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「日経HR Labo 就活ゼミ生」講座より【7】 留学生のための「業界・企業研究」(2)
講師のエンピ カンデルさん

 「日経HR Labo」は2017年1月、日本で就職を目指す外国人留学生(日経HR Labo 就活ゼミ生)を対象に「業界・企業研究講座」を開催しました。講師はネパール出身のエンピ カンデルさん。株式会社トモノカイで留学生の就職支援や生活支援、異文化交流などのサポートを行っており、これまで2000人以上の留学生を日本企業へ就職サポートした実績があります。ご自身も日本の大学へ留学して就活をし、新卒入社を経験しました。
 本稿では留学生ための業界・企業研究のポイントについて、講座の一部を2回に分けて紹介。今回は第2回(後半)です。

※留学生のための「業界・企業研究」(1)はこちら

ESなどの質問内容から、業界が求める人材像を知りましょう

 就活生の中には、さまざまな業界から複数の内定を獲得する人がいます。これは、どんな業界・企業でも求めている人材像がほぼ同じであるためですが、それでも業界・企業のエントリーシート(ES)や面接の質問内容を見ていくと、その業界・企業が求める人材像が見えてきます。

 質問内容と求める人材像を知れば、選考をうまく乗り越えることができるほか、その業界・企業と自分が合うかどうかも何となく分かってきます。ここでは一例として商社と金融で聞かれた質問から、求める人材像を探ってみましょう。また、質問には必ず意図があります。質問の意図をとらえて、どのように答えればいいのかも考えてみます。

商社の求める人材像

 最初に結論を言うと、商社が求める人材像は「地頭がよい人材」「努力を惜しまない人材」「チャレンジ精神があり、前に進む力を持っている人材」です。では、質問内容を見てみましょう。

●質問「学生時代に取り組んだ経験の実績をすべて教えてください」
 この質問のポイントは「すべて」の部分です。企業は「同時に複数のことに取り組める人材」を求めていることがわかります。学生時代に取り組みについて、1つだけ回答してもダメです。学業や学業以外のさまざまな取り組みを答えられるようにしておきましょう。

●質問「当社で挑戦したいこと、実現したいことは何ですか?」
 この質問のポイントは、企業の理解度です。「この学生は本当に入社したいか?」を企業は知りたいと考え、「挑戦したいこと」「実現したいこと」を聞くことで判断しようとしているのです。

 志望企業のホームページを読むだけではなく、それに加えて決算書をしっかり見ておかないと企業の理解はできません。決算書は上場企業であれば公開されています。公開されていない企業は、説明会で聞いてもいいでしょう。事前に調べられることは、できるだけ調べてから選考に臨んでください。

 また、挑戦したいことや実現したいことは、1つにこだわりすぎず伝えるようにしましょう。こだわりすぎると、企業の担当者にマイナスの印象を与えてしまう可能性もあります。

●質問「他人から信頼や信用を得たエピソードを教えてください」
 この質問に対して、「他人の信頼を失って大変だった。でも頑張って、信頼を取り戻した」という内容だけを説明する学生がいます。企業が知りたいのは「信頼・信用を得るためにどのように考えて、行動したか。信頼を失ったのであれば、どのように解決したのか」といったプロセスです。具体的に伝えるようにしてください。

●質問「自分が成長したエピソードを教えてください」
 企業が知りたいのは、物事に対してやり抜く力を持っているか、失敗したらどのように考えて改善し、やり抜いたかといったプロセスです。

 日本の企業は結果だけでなく、プロセスも大事にします。例えば、部活で大会に出場して、結果は2位だったとしてもプロセスをしっかり伝えればいいです。プロセスがしっかりしていれば、「PDCAサイクル」(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Act,Action=改善のサイクル)ができる学生と評価されます。PDCAは社会人になると意識しなければならないスキルであり、企業はその点を見ているのです。

 留学生の中には「日本語能力試験のN1を取得することを頑張りました」と伝える人もいます。また「大学入試の勉強を頑張って成長した」と言う人もいます。ただ、これは当たり前のことで、他の学生もやっていることです。別のエピソードを取り上げたほうがいいと思います。

●質問「困難や逆境を乗り越えた経験はありますか? 困難に直面したとき、誰が支えてくれましたか?」
 この質問から企業は、負けず嫌いの性格を持っているか、問題・課題に対してしっかり向き合って、解決できる人材かどうかを判断しようとしています。また、困難に直面したときに誰が支えてくれるのかを聞くのは、日本で働くときに精神的な支えとなってくれる人がいるかを確認するためです。

 仕事をしていくと、必ず乗り越えることが大変な“壁”にぶつかります。そんなときに、うまく対処するには、誰かに相談することも1つの手です。この質問に対して、多くの留学生は「両親」を挙げますが、両親は遠くの母国にいることが多いですよね。それであれば、日本人の友人を挙げるほうがいいでしょう。

金融の求める人材像

 金融業界が求める人材像は、商社とそれほど大きくは変わりませんが、「周囲との関わりやチームワーク力」も求めています。留学生であれば「日本人との関わり」も大事です。金融が求める人材像を挙げると「地頭がよく、数字を読む力がある人材」「チームワーク力がある人材」「マルチタスクをこなせる人材」です。

 例えば、学生時代に取り組んだ出来事としてサークルの話を人事担当者に伝える場合、留学生だけが加入しているサークルの経験を伝える学生がいます。しかし、それはあまり求められていません。伝えたいポイントは、日本人と一緒にどのような経験をしてきたかです。

 また、学生時代に勉強に力を入れ、専門課目以外の授業にも参加し、関連資格も持っている、しかし、それ以外の課外活動などにはまったく取り組んでこなかった、という学生がいます。学生の本分である勉強に力を入れたことは評価できますが、企業は1つのことだけしかやってこなかった人材より、マルチタスクをこなせる人材を求めています。

●質問「他人と協力し、力を入れて取り組んだことはありますか?」
 質問のポイントはチームワークで、協調性について学生の資質を知ろうとする質問です。また、取り組みの中で壁にぶつかったとき前に進めることはできるか、といったプロセスも評価の対象です。

●質問「あなたの魅力について、友人などはどのように言っていますか?」
 この質問は学生の客観的な考え方や価値観などを知り、企業理念や企業の価値観と合っているかなどを知るために聞きます。

 ただ、企業の理念に対して自分を無理に合わせなくてもいいです。無理に合わせると、1、2次など初期の面接は通過するかもしれませんが、最終面接などで落ちるということもあります。最終面接で落ちてしまうと交通費はもったいないし、時間効率も悪いです。仮に入社できたとしても、企業の価値観と合わずに、いずれ辞めてしまう可能性があります

 就活を進めていく中で本気でやりたい、入社したいと思う企業を探してください。学生の中には「まだ入社していないので、やりたいことよく分からない」という人もいますが、分からないことをトコトン考えてみることが、時間的に余裕のある今の時期です。

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