巨大企業の研究 ~総合商社編~

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巨大企業の研究 ~総合商社編~

 日本に必要なものを海外から輸入し、外国が必要とするものを輸出するのが商社の中心業務。資源開発のための投資や海外企業のM&A(買収・合併)も活発です。ただ、学生目線でみると「企業研究をするとき、やっていることが多すぎて、どんな点を見比べればよいか分からない」という声も。今回は大内孝夫さんに総合商社の特徴のとらえ方を解説していただきます。)
(文/武蔵野音楽大学就職課主任 兼 会計学講師 大内孝夫 ※プロフィルは2ページ目)

ここ10年間の総合商社の「稼ぎ頭」は資源

 「そうは問屋が卸さない」―――みなさん一度は聞いたことがあることわざだと思います。この問屋の頂点に君臨するのが「総合商社」です。多くの商社が鉄鋼、繊維、食品などの専門分野に特化するのに対し、総合商社は「ラーメンからミサイルまで」といわれる幅広い商品を扱う点に特徴があり、このビジネスモデルは日本独自のものといわれています。

 近年では資源や穀物、機械製品などの卸ビジネスにとどまらず、資源権益や企業投資ビジネスのウエートが高まりました。このシフトは、中国やインドなどの新興国需要の増加や原油価格上昇の追い風に乗り、ここ10年ほどの商社の売上高や利益を大きく押し上げました。しかし、新興国経済の減速や資源価格の大幅下落から転機を迎えているようです。そのため今後の各社の動向に世間の注目が集まっています。

総合商社の特徴は得意な事業・地域・提携に表れる

 さて、前回取り上げたメガバンクは3行が同じ土俵(市場)で凌ぎを削っている印象でしたが、総合商社はさまざまな分野に進出しつつも、その事業、地域展開には各社際立った特徴があります。その理解に必要なキーワードは「事業ポートフォリオ」と「戦略的提携(アライアンス)」です。

 事業ポートフォリオとは、進出している事業群や地域の組み合わせのことで、資源・非資源事業の比率や地域別、あるいは事業部門別売上高(次ページのグラフ参照)などで示されます。また戦略的提携は、他社との資本・業務上の提携を意味し、それをさらに推し進めたものがM&A(企業合併・買収)です。総合商社大手5社の強みのある事業ポートフォリオ分野、戦略的提携・M&Aの現状をまとめてみました。

 資源は、例えばLNG(液化天然ガス)では三菱商事が日本全体の3割、鉄鉱石では三井物産が4割など、特定の商社が大きなシェアを握っています(シェアは推定による)。地域別でも特定の商社が他を圧倒しているケースが多いのが特徴的です。例えば三菱商事は日本初のLNG資源開発を行ったブルネイをはじめ、東南アジア諸国とのつながりが深く、三井物産はブラジルに他社を圧倒する規模で進出しています。伊藤忠商事は2015年に中国最大の国有複合企業、中国中信集団(CITIC)の中核子会社に6000億円の出資を行い、一気に関係を深めました。

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