成長業界の研究 インバウンド関連業界

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成長業界の研究 インバウンド関連業界

 これまではメガバンク、総合商社といった一般的な業界区分によって巨大企業の研究方法をお伝えしてきました。今回からは成長分野に注目し、今後さらなる成長・拡大が期待できる業界や企業を紹介します。就職活動では、世の中の動き、社会のニーズなどを汲み取りながら、伸びる業界・企業を選びとることも大切な視点の1つです。今回は「インバウンド(訪日外国人客)」を取り上げます。
(文/武蔵野音楽大学就職課主任 兼 会計学講師 大内孝夫 ※プロフィルは2ページ目)

日本を訪れる外国人客はアジアから7割

 今回のテーマは「インバウンド」。インバウンドとはもともとは「内向きの」を意味する形容詞ですが、そこから転じて「訪日外国人客」を指す用語となっています。就活生であればその用語の意味とともに、その経済規模や訪日外国人客の国別割合などの概要、関連する業界や企業を押さえておきたいところです。

 訪日外国人客数の政府目標は2020年2,000万人、30年3,000万人というものでしたが、日本政府観光局の発表(※1)によれば、15年は過去最高の1,974万人に上り、20年の目標値を前倒しでほぼ達成したようです。旅行消費額も3兆4,771億円(前年比71.5%増!)と過去最高を記録しています。今後の増加も見込まれる訪日外国人客。その実態はどのようなものでしょうか。

 訪日外国人客数は東アジアの中国、台湾、韓国、香港で約7割を占めていますが、ここ数年は中国の台頭が目立ちます。特に15年は顕著で、訪日中国人数は14年の244万人から499万人へと倍増以上の伸びを示し、一躍トップに躍り出ました。ロシアを除き、欧米諸国やオーストラリアからの訪日も軒並み過去最高を更新していますが、「影響力」という意味では東アジア、特に中国が圧倒しています。

 また、外国人1人当たりの旅行消費単価(※2)も全体平均約18万円に対し、中国からの訪日客は約28万円と、まさに“爆買い”というにふさわしい使い方をしていますので、中国人訪日客の日本経済に対する影響力は非常に大きくなっていることが分かります。

インバウンドの恩恵の大きな業界・企業

 このインバウンドの直接的なメリットが大きいのは航空業界や宿泊業、旅行業界です。しかし、「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざが示すように、その影響は様々な分野に及びます。「巨大企業」という観点からインバウンドのメリットを受けやすい企業を整理してみました。就活生を意識しているため、やや強引なところもあるかもしれません。

1.直接メリット関連企業:航空[JAL、ANA]、旅行[JTB、H.I.S. ]、レジャー[オリエンタルランド(ディズニーランド)]など
2.買い物(爆買い)関連:化粧品[資生堂、花王、コーセー]、百貨店[三越伊勢丹HD、J.フロント リテイリング(大丸松坂屋)、高島屋]、家電量販店[ヤマダ電機、ビックカメラ]、ドラッグスストアチェーン[マツモトキヨシHD、サンドラッグ、ツルハHD]など
3.「風が吹けば・・・」関連:東レ、NTTグループ、ソフトバンクグループ、KDDIなど
*[  ]カッコ内は売上高上位の当該業種の代表的企業

 この他にも家電メーカーや医薬品業界など、様々な業界・企業が考えられますが、筆者なりの就活生に押さえておいて欲しい優先順位で個別企業を挙げました。インバウンドの消費額が大きい宿泊業は、「巨大企業」といえる企業が少ないことから除外しています。

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