「固定残業代」とは? ~その意味をちゃんと理解しないと“キケン”!~(後編)

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「固定残業代」とは? ~その意味をちゃんと理解しないと“キケン”!~(後編)
このような表記には注意しよう!(写真はイメージ)

 「初任給:月額24万円(固定残業代含む)」――。就職情報サイトなどで企業の求人情報を見ていると、このように表記している企業があります。実はこれ、学生にとって“キケン”な表記なのですが、その意味をしっかり理解していますか? 求人情報を見るときの注意点について、市民団体「ブラック企業対策プロジェクト」のメンバーで、労働問題に詳しい法政大学の上西充子教授に解説していただきました。前編、後編の2回に分けた「後編」を紹介します。

★前編はこちら
https://labo.nikkeihr.co.jp/contents/news/kyujinmikata01/

よく分からない言葉が出てきたら社会人に聞こう!

 ――基本給の金額の中に、「○○手当を含む」としている企業もあります。

 初任給の中に、さまざまな手当を含んでいる場合も注意が必要です。

 書籍『就職四季報』(東洋経済新報社)は、2017年版で初めて初任給の内訳を巻末に掲載しました。これを見ると、「初任給=基本給」という企業も数多くありますが、中には、基本給のほかに「住宅手当」や「通勤手当」などの手当を含んでいる企業もあります。

 募集段階でちゃんと書いているという点は評価できるのですが、一般的に住宅手当や通勤にかかる交通費(通勤手当)は別途支払われる場合も多く、手当を含んだ初任給を提示することで、金額を高めているのではないかとも考えられます。

 ――求人情報に不明な点があった場合、調べる方法はありますか?

 会社のホームページと主要な就職情報サイトをいくつか見比べてみてください。Aサイトに載っていないけど、Bサイトには載っているということがあります。

 また、企業の担当者に直接聞くことも失礼ではありません。ただし、企業の中には給与や福利厚生について質問する学生は敬遠したいと考えるところもあり、学生も「教えてください」というのは、なかなか勇気がないというのが実情だと思います。

 その場合、その企業を志望しない友人と一緒に説明会に行き、友人に質問をしてもらうというのも一つの手です。その上で、企業が「詳細は教えられない」「手持ちの資料がないから回答できない」というのであれば、要はそういう企業なんだなと思えばいいでしょう。

 また、よく分からない言葉が出てきたら、親など社会人に聞いたほうがいい。学生と接していると、よく分からない言葉が出てきても、そこで調べないで、読み飛ばしてしまっている人もいます。企業はものすごく大事なことを、分かりにくく書くこともあるので注意しましょう。

「1カ月の残業時間40時間」は多い? 少ない?

 ――労働時間についてもお聞きします。「月40時間の固定残業代(○万円)を含む」という表記の場合、「40時間」の残業が多いのか、少ないのか、ピンとこない学生もいます。

 確かに、働いた経験がない学生にとっては、毎月40時間の残業がどの程度なのか、はっきりイメージが持てないかもしれません。

 それであれば、1カ月の出勤日は20~22日程度、すると1日約2時間の残業です。勤務時間が9時~18時だった場合、2時間残業して退社できるのは20時頃です。そこから帰宅して、夕食を食べて、お風呂に入って……、と考えてみてはいかがでしょうか。

 学生に知っておいてほしいのは、厚労省の残業時間に関する告示(時間外労働の限度に関する基準)です。告示では、残業時間の限度を「1カ月=45時間」「1年間=360時間」と定めています(一般の労働者の場合)。年間360時間ということは、1カ月では30時間です。

 仕事量は年間を通じて必ずしも一定ではないので、「忙しい時期は月に45時間までは残業を認めるが、年間では360時間以内にしなければいけない」ということ。最初から「40時間」ということは……と考えてみてください。

 また、過労死の認定基準(過労死ライン)の残業時間は「1カ月=80時間」と「1カ月=100時間」です。これは直近の1カ月で100時間、もしくは直近2~6カ月の月平均が80時間ということで、月に80~100時間の残業を続けていると、過労死する可能性があるということです。

 学生からすると、残業が多くても若いから頑張れる、新人だから頑張らなきゃ、と思ってしまうかもしれませんが、月80~100時間の残業をさせるような企業は、社員の健康を考えているとはいえません。そういう企業で働いたら危ないということを入社前に気づくために、これらの数値を覚えておいてください。

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