採用スケジュール変更の<混乱騒動記>【3】

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採用スケジュール変更の<混乱騒動記>【3】

2016年度(2016年4月入社)採用の日程変更は、さまざまな面で悪影響があった。具体的にどのような悪影響があったのかを解説する。そして、2017年度採用では再度の日程変更が決まったが、これも長続きしないことが予想される。その理由も解説する。
 (文/就職問題研究会 ※プロフィールはページ下部)

採用日程の後ろ倒しの悪影響は、長期化だけではない

 安倍晋三首相の要請により、2016年度の採用では、採用日程が後ろ倒しになった。しかし、この日程はよく考えられて実行されたこととは思えず、結果的に、就活の長期化を招き、企業と学生の双方の労力を無駄にした。

 また、日程の後ろ倒しの悪影響はほかにもある。

 まず、教育実習は4年生の5~6月におこなわれることが多いので、教職課程を履修している学生が2016年度の民間企業の就職活動もしようとした場合、非常に苦労していた。

 公務員試験も4年生の5~6月におこなわれることが多いので、民間企業と公務員の両方を考えている学生は完全にバッティングしてしまった。「2016年度は応募者が減った」と感想を述べる地方公共団体の採用担当者もいた。

 文系学部の学生の場合、3年生までに単位をたくさんとっておけば、4年生は単位をほとんどとらなくても大丈夫ということがある。しかし、理系学部の場合、4年生は実習期間なので、非常に重要である。4年生の前期の授業がほとんど出られないような採用日程なので、理系学部の学生には、採用日程の後ろ倒しは問題が大いにあった。

 また、卒業論文が必須の学部の場合、4年生は卒論のための実験・調査や作成の重要な期間である。採用日程の後ろ倒しで卒論の作成が困難になった学生が多くいた。

後ろ倒しの影響で、最新情報が入っていない筆記試験の問題集も!?

 このほかにも、ほとんど指摘されていない問題もある。

 実は、2017年度就活をする学生向けの筆記試験の問題集には、最新情報が入っている本と、そうでない本がある。特に、筆記試験の問題集においてこの差が大きい。

 就活本は例年5月ごろに刊行されることが一般的だった。旧日程だと、4月に選考開始で、5月頭には内々定が出て、就活が一端収束するので、5月に就活本が刊行されるのは妥当だった。

 しかし、2016年度の採用では、3月から広報開始で、このくらいからテストが使われ出す。仮に3~5月くらいまでテストの最新動向を調査し、問題集に盛り込むとなると、9月刊行くらいが最速だろう。そのため、いくつかの出版社は問題集の刊行を9月に遅らせていた。

 ところが大半の出版社は5月に問題集を刊行し続けている。こうした問題集では、最新動向が入っていることは期待しないほうが良いだろう。

 2017年度版の問題集で、最新情報が入っているものを選びたければ、2015年9月以降の刊行のものを選ぶと良いわけだ。
※なんと、ある出版社は2016年1月に2018年度版の就活本を刊行している。
2017年度の就活が始まる前に、2018年度版の就活本を出すというのは、あり得ないことだ。
2017年度の就活情報を取り入れて作成しようと思えば、2018年度版の刊行は早くても2016年8月、9月ごろになるはずだ。

2017年度の採用は、選考開始が2カ月早まる

 経団連は、2017年度の選考開始を8月1日から6月1日に2カ月早めることを発表した(2015年12月7日)。ただ、広報開始は3月1日のままだ。

 この日程も、4年生が前期の授業に出席しづらいという状況は改善されていない。おそらく、長続きはしないだろう。

 2018年度の採用は、旧日程(12月1日広報開始、4月1日選考開始)に戻る可能性が高い。旧日程はわりと良くできていて、冬休み・春休みを利用して、会社説明会やエントリーシート提出、Webテスト受検などができていたので、3年生の学事日程への影響がほぼないに等しかった。おまけに、4月1日から面接開始で、大手企業を中心に4月末くらいには内々定が出ていたので、4年生の学事日程への影響も少なかった。

 ひょっとすると、旧日程を手直しして、12月1日広報開始、3月1日選考開始にするかもしれない。もしも、こう手直しすれば、春休み期間を面接に使うことができ、3年生の学事日程への影響を最小にできる。3月末には内々定が出るので、4年生の学事日程への影響は大幅に減るだろう。

<プロフィール>
外資系人事コンサルティングファームのコンサルタント、メーカーの人事担当者、人材情報系のライターなど、複数のメンバーで構成。
ブログ→http://syusyokumondai.blog.fc2.com/

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