学生が知らない「優良中堅・中小企業」の探し方【24】「若手を育てる企業は社員の定着率が高い」

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学生が知らない「優良中堅・中小企業」の探し方【24】「若手を育てる企業は社員の定着率が高い」

 学生が知らない「優良中堅・中小企業」の探し方の第24回。今回は、企業の人材育成と定着率、離職率の関係について考えてみましょう。
(文/中小企業交流クラブ幹事・作家 三浦紀夫 ※プロフィルはページ下部)

「盗め」から「育てる」に発想を転換

 私が幹事を務めている中小企業交流クラブという団体があります。東京の異業種の経営者たちでつくっている団体です。

 先日、有志の経営者たちが北海道に研修旅行に行ってきました。行先は、札幌市に本社を置く中屋敷左官工業が石狩市に建設した研修センターです。

 同社では先代社長(現社長の父)が急に亡くなり、若い社長が会社を引き継ぐことになりました。新社長は、若手社員が定着しない会社の実態を見て「このままでは社員が高齢化し、会社が立ち行かなくなってしまう」という悩みや危機感を抱きます。

 これを解決するために、それまでの「先輩の仕事のやり方を盗め」という育て方ではなく「最初から若手を育てる」という考えに発想の転換をしました。

今は人がやめない会社に

 教育カリキュラムの核として動画プログラムを導入し、約10年はかかるといわれていた育成期間を3年程度に短縮しました。

 有志の経営者たちが訪ねた研修センターは、同社の社員育成の拠点です。ここの3階にある壁塗りの技能研修室では、新入社員がモニターで自分や先輩のビデオを見ながら、ベニヤ模擬壁に塗装作業をして技能を磨きます。

 このように育成システムを開発してきた結果、同社は「昔は入ってもすぐにやめていく会社、今は誰もやめない会社」といわれるまでになりました。「第3回 日経トップリーダー・人づくり大賞(※)」の最優秀賞にも選ばれたほどです。
http://nvc.nikkeibp.co.jp/hito/

人材育成に力を入れる企業を選べ

 厚生労働省の入社3年後離職率の調査を見ると、規模の小さな企業ほど離職率が高いことがはっきりしています(第15回参照)。この原因の1つは、企業の育成の仕方にもあるのではないでしょうか。

 社員を採用して育てるには、時間もお金もかかります。規模の小さい企業はこの負担に耐え切れず、しっかりした育成をしない傾向があります。だから若手社員も、仕事の喜びや成長する充実感を得られずやめていきます。離職率が高い企業の中には、こうした悪循環に陥っているところが少なくないように思われます。

 ですからみなさんには、中堅・中小企業でも、社員の育成に力を入れている企業を選んでほしいものです。面接のときに「若手に対してどんな育成をしていますか」と聞いてみてください。胸を張って具体的なプログラムを教えてくれるような企業なら、優良企業の可能性が高いといえるでしょう。


[プロフィル]
三浦紀夫(みうら・のりお)
1952年2月、青森市生まれ。作家。明治大学政経学部卒。学生時代から編集制作会社の株式会社コアで仕事をし、卒業後同社に入社。1990年、同社代表取締役に就任。2002年、倒産。2003年、『倒産社長の告白』(草思社)を発表して著作活動を開始。他の著書に『倒産社長、復活列伝』(草思社)、『こうなったら会社はたたみなさい』(東洋経済新報社)等。2012年1月、『就活が変わる!優良中堅企業の見つけ方』(PHP研究所)を発表。新聞、雑誌の連載や講演でも活躍中。中小企業交流クラブ幹事。

【バックナンバー】

【1】はじめに……
【2】業界をよく知っている人に話を聞こう!
【3】中堅・中小企業の“安定性”を見定めるには
【4】就職情報サイトで志望企業を絞るには
【5】説明会では社長との相性を探ろう
【6】企業の成長性を見定めよう!
【7】応募した企業の社長が高齢だったら……
【8】第三者から表彰される企業を見つけよう
【9】志望企業は情報公開に積極的か
【10】中堅・中小の採用は、これからが本番
【11】中堅・中小企業が求める学生とは?
【12】内定が得られないまま年を越しそうなあなたへ
【13】中堅・中小企業には魅力がいっぱい
【14】スタッフや職場に好感が持てる会社を選べ
【15】入社3年後の離職率をどう考えるべきか

【16】ダメな経営者を見分ける方法
【17】経営革新計画を承認された企業に目をつけよう
【18】どんな経営ビジョンを描いているか
【19】B to B企業がねらい目だ
【20】灯台下暗し。キャリアセンターを使おう
【21】「業績がいい企業=優良企業」とは言い切れない
【22】中小企業に絞った就職情報サイトを活用しよう
【23】年齢のハンディを感じたら中堅・中小企業を狙え

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