学生が知らない「優良中堅・中小企業」の探し方【3】「中堅・中小企業の“安定性”を見定めるには」

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学生が知らない「優良中堅・中小企業」の探し方【3】「中堅・中小企業の“安定性”を見定めるには」

 学生が知らない「優良中堅・中小企業」の探し方の第3回。今回は、中堅・中小企業の安定性について考えてみましょう。
(文/中小企業交流クラブ幹事・作家 三浦紀夫 ※プロフィルはページ下部)

「安定性」を見定めるキーワードの1つは“複数”

 学生のみなさんに「なぜ中堅・中小企業を目指さないのか?」と聞くと、決まって挙げられるのは「経営の安定性に欠けるから」という理由です。

 では、中堅・中小企業の安定性はどうやって見定めたらよいのでしょう。安定性の高さを確認できれば、安心して入社できるはずです。

 これには、いくつかの方法があります。キーワードの1つは、“複数”です。

 知人の経営コンサルタントが、こんな話をしていました。東日本大震災の後、彼のところに多くの被災企業から相談が寄せられました。その後、立ち直った企業とやっていけなくなった企業には、ある違いがあったそうです。それは“複数”の要素を持っていたかどうかということ。

 1つの場所で事業をしていた企業は、その社屋や工場が津波で壊されたら、やっていけなくなりました。1つの業種だけで営業をしていた企業も危険でしたし、1つの顧客しか持っていなかったところは、顧客が被災するとひとたまりもありませんでした。

 1つの場所、1つの業種、1つの顧客。このような、単一の要素で事業をしている企業には、安定性の面で不安があります。将来の環境変化があれば、その1つの基盤が壊れることもありえるからです。

 特に、1つの顧客しかいないという企業は不安です。下請け型の中堅・中小企業の中には、このような企業が少なくないので、注意したほうがいいでしょう。企業研究をする際には、その企業が複数の事業や顧客などを持っているかどうかを見定めることが大事です。

借入金は月商の何倍が適正か

 経営の安定性に欠ける企業は、倒産する可能性が高い企業とも言えます。財務面から見ると、借入金の多い企業です。逆に、最も安定性が高いのは無借金経営の企業です。

 とはいえ、無借金経営の中堅・中小企業は、そう多くありません。企業を設立するときや、規模を大きくするときにも銀行などからの借入金に頼っています。ですから、安定性を見定めるには、借入金が適正な範囲に収まっているかどうかがポイントになります。

 これを判断する最も簡単な方法は、借入金が月商(1カ月の売上高)の何倍かを把握することです。業種にもよりますが、一般的には月商の5倍から6倍(5カ月から6カ月)くらいまでが適正な借入金だと言われています。

 上場企業のように有価証券報告書を公表している企業ならば、売上高や借入金は公開されており、簡単に知ることができます。

公表されていなければ聞いてみろ

 ただ、多くの中堅・中小企業では貸借対照表を公開していません。そんな企業を志望する場合は、企業説明会や先輩訪問のときなどに、「借入金は、月商の何倍くらいですか?」とズバリと聞いてみたらいいでしょう。質問に対して、安定性に自信のある企業ならばしっかり答えてくれるでしょう。

 この質問をすることは、おかしなことでも無礼なことでもありません。会社法では、すべての株式会社は貸借対照表を公告(一般に告知すること)しなければならないとしています。ですから、堂々と聞いてみればいいのです。企業もこの程度の質問には、はっきりと答えるべきだと私は思います。


【プロフィル】
三浦紀夫(みうら・のりお)
1952年2月、青森市生まれ。作家。明治大学政経学部卒。学生時代から編集制作会社の株式会社コアで仕事をし、卒業後同社に入社。1990年、同社代表取締役に就任。2002年、倒産。2003年、『倒産社長の告白』(草思社)を発表して著作活動を開始。他の著書に『倒産社長、復活列伝』(草思社)、『こうなったら会社はたたみなさい』(東洋経済新報社)等。2012年1月、『就活が変わる!優良中堅企業の見つけ方』(PHP研究所)を発表。新聞、雑誌の連載や講演でも活躍中。中小企業交流クラブ幹事。


【バックナンバー】
学生が知らない「優良中堅・中小企業」の探し方【1】
https://labo.nikkeihr.co.jp/contents/news/yuryotyuken_mi/

学生が知らない「優良中堅・中小企業」の探し方【2】
「業界をよく知っている人に話を聞こう!」
https://labo.nikkeihr.co.jp/contents/news/yuryotyuken_mi_2/

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